Japanische Klassiker mit Furigana
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いかりのむし
怒りの虫
豊島 与志雄
Lesen Sie 怒りの虫 (いかりのむし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.457 Zeichen · 24 Bildschirme
ざまあ見ろ。これでさようならだ。お前がいくら追っかけて来ようと、俺はもう振り向きもしないぞ。穢らわしい奴だ。お前ばかりか、由美子の肉体だって、八重子の肉体だって、穢らわしさに変りはない。由美子のは、腋臭めいた臭気がするし、八重子のは白髪染めの臭気がする。いくら香水をふりまいてもだめだ。ざまあ見ろ。さようならだ。≫
由美子は木山の肩を捉えて揺った。
「木山さん、起きて下さい。そして、はっきり言って頂きましょう。」
木山は黙って、彼女の顔を眺めた。
「あなたの御本心は、私にじっと塚本のところで辛棒せよと、そうなんでしょう。」
木山はまだ黙っていた。
「そうしてるうちに、自然と別れることになると、それをお望みでしょう。」
木山は返事をしなかった。
「よく分りましたわ。もう御心配はかけません。わたしはわたし自身で仕末をつけます。」
木山はふいに叫んだ。
「勝手になさるがいいでしょう。」
そして立ち上り、室の中をぐるぐる歩き廻った。暴風の前兆は彼の方にあった。頭がくらくらし、やたらに腹が立った。
「僕の気持ちは前に言った通りです。あなたはいつまでも後戻りばかりしている。