Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「何を!」
と一人飛び込んで来た。
「馬鹿め!」
と抜いた旗二郎、ピッシリ、平打ち、撲り倒した。
「野郎!」
ともう一人飛び込んで来た。
「うふん」
ピッシリ、撲り倒した。
「逃げろーッ」
三人、逃げてしまった。
「あぶないところで、怪我はなかったかな?」こういう場合の紋切り型だ、旗二郎娘へ声を掛けた。
すると娘も紋切り型だ。「はい有難う存じました。お蔭をもちまして幸いどこも……」
「若い娘ごが一人歩き、しかもこのような深夜などに……」これもどうにも紋切り型である。
「送って進ぜよう、家はどこかな?」どこまでいうても紋切り型である。
ところがそれが破壊されてしまった。紋切り型が破壊されたのである。
「屋敷はここでございます」
二人の前に宏大な屋敷が、門構え厳めしく立っていたが、それを指差していったからである。
「ははあ」といったものの旗二郎、化かされたような気持ちがした。「それではご自分の屋敷の前で、かどわかされようとなされたので?」
「はいさようでございます」
「つまらない話で」と鼻白んだ。せっかくの武勇伝も駄目になったからだ。「が、それにしても迂濶千万! ……何さ何さあなたではござらぬ。