Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「まるで大名の下屋敷のようだ。その下屋敷の庭のようだ」
呟きながら旗二郎、築山のうしろまで行った時である。
築山の裾に岩組があり、それの蔭から黒々と、一個の人影が現われた。
「おや」
と思った時、掛け声もなく、スーッと何物か突き出した。キラキラと光る! 槍の穂だ! 黒影、槍を突き出したのである。
「あぶない!」
と思わず叫んだが、「何者!」と再度声を掛けた。とその時には旗二郎、槍のケラ首をひっ掴んでいた。
と、黒影、声をかけた。
「先刻はご苦労、まさしく平打ち、ピッシリ肩先へ頂戴してござる。……で、お礼じゃ、槍進上! ……そこで拙者はこれでご免! ただしもう一人現われましょう」
スポリとどこかへ消えてしまった。
団々と揺れるものがある。雪のように真っ白い。白牡丹の叢があるのであった。黒い人影の消えた時、恐らく花を揺すったのであろう。プーンと芳香が馨って来た。
「驚いたなあ、何んということだ。物騒千万、注意が肝腎。……槍進上とは胆が潰れる。……待てよ待てよ、何んとかいったっけ『先刻はご苦労、まさしく平打ち、ピッシリ肩先へ頂戴してござる』――ははあそうするとさっき方、この家の娘を門前で、かどわかそうとした奴だな? ……ふうむ、それではあいつらが、潜入をしているものと見える。