Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「犬神に憑かれたらおしまいだ」
そう人々は云いさえした。
その種族の娘と夫婦になる。これはとうてい弥兵衛にとっては我慢のならないことであった。
が家へ帰って見て、もう犬神に憑かれていることを、弥兵衛は感ぜざるを得なかった。
娘と恋仲になった日に、母が悶死したということであった。
弥兵衛はすぐに出家してしまった。そうして諸国を巡った後、江戸へ出て浅草へ行った。
と、おきたが茶汲み女として、美貌と艶姿とで鳴らしているのを見た。
恐怖と懊悩とが彼の心を焼いた。
彼は毎日難波屋の前を、往来しておきたを眺めたり、彼女の愛人として知られていた、貝塚三十郎の後をつけたりした。
おきたを写した一枚絵を、それからそれと買いもした。
死を前にしてこれだけのことが、弥兵衛――源空の記憶に上った。
(わしも結局憑かれたんだ。こんなように憑かれるくらいだったら、いっそおきたと夫婦になった方が……
いやそうではないそうではない! ……そんな小さな問題ではない! ……宗教の道へ入ってみて、人間は一切平等だという、真理をわしは知ることが出来た。犬神だのとっつきだのと、同じ日本の人間を、差別視するということの、不合理であるということも知った。