Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「方々捕吏だ、捕吏でござるぞ!」と叫ぶ、斗丈様の狼狽した声が聞こえて来ました。
それに続いて聞こえて来たのは、戸や障子の仆れる音、捕吏たちの叫ぶ詈り声などで、その捕吏たちが庵室へ駈け上がり、奥の方へ乱入して行く姿なども、影のように見えました。わたしは夢中で走って行きました。
でも庵室の縁の前まで行った時、抜き身を揮って喚く北条右門様や、鞘のままの大刀を左手に提げ、右手で捕吏たちを制するようにしている、わたしの見知らない若いお侍さんや、顔色を変えている斗丈様、そういう方々によって警護され、しかし大勢の捕吏たちによって、奥の部屋から引き出されたらしい、ご上人様の法衣姿が、勿体なく痛々しく現われて来ました。
(ああとうとうお捕られなされた?)
と、私は眼をクラクラさせ、地面へ膝をついてしまいました。
そういう眩んだわたしの眼にも、ご上人様の片袖を握っている男が、竹田街道の立場茶屋で逢い、そうしてたった今しがた、怪しい屋敷の前で逢ったところの、例の男であることがわかりました。
何んという無礼な男なのでしょう、その男は不意に手をあげて、ご上人様の冠っておられた黒の頭巾を、かなぐりすてたではありませんか。