Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいいにきらわる

怪異に嫌わる

豊島 与志雄

Lesen Sie 怪異に嫌わる (かいいにきらわる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.560 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

坪井君は、座敷に並んでるいろいろな物を、好奇の眼で見やった。その中には、幾本もの刀剣類があった。それにちょっと心惹かれて、一つ一つ引抜いては眺めているうち、奇体にこちらの気を打ってくる一振がある。だいぶ錆がきてはいるが、あやしく肌身に迫る気配がする。坪井君はそれが欲しくなって、伯父にねだった。だが、それはやめたがよかろう、と伯父は云う。幾本もあることだから、欲しければどれでも持っていって宜しいが、その刀だけはやめたがよかろう、と云って承知しない。そうなれば、猶更欲しくなるのが人情で、坪井君は遂に二日がかりで伯父を口説き、とにかく暫く貸して貰うということにして、ぬけぬけと分捕ってしまった。その時、伯父がさりげなく洩した言葉によれば、その刀はどういうわけか、昔からなるべく佩用しないようにとの言い伝えがあるのだとか。だが、そのようなこと、坪井君は別に気にも止めなかった。

――田舎の旧家には、いろいろ曰く付きの物があり、またいろいろの言い伝えがあるものだ。それらのものが積って、家の格式とか伝統とかを形造ることが多い。然しそれらのものも、いつしか忘れられがちになったり、心にもとまらないほど遠い昔のことになったりする。