Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいいにきらわる

怪異に嫌わる

豊島 与志雄

Lesen Sie 怪異に嫌わる (かいいにきらわる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.560 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

第三夜には、白衣の女人は、天井の上にいたが、やがて天井の下に出て来、坪井君の胸の上までおりて来、そこで坪井君ははね起きた。

――坪井が見た妖性には、一つの特質がある。それは直ちに室内に出現しはしない。いつも、障子の外、壁の外、天井の上、などに出て来るのだ。而もはっきりと見えるのだ。その時、障子や壁や天井板は、そこだけ硝子のように透明になる。いや、それはむしろ硝子の面の映像とでも云おうか。障子や壁や天井の外だと見ていたのが、いつしかその内側、即ち室内になり、次ですぐ身辺に迫ってくるのである。――硝子戸などに映った像が、硝子戸の外から室内へと移り迫ってくるのを、君は見たことはないだろうか。とにかく、坪井の妖性は特徴的だ。

坪井君は三夜続けて幻を見て、はたと思い当った。それは丁度、伯父のところから刀を貰って来たその夜からのことである。刀は床の間に置いてある。

幻が果してその刀の故かどうか、坪井君は友人に試してみた。小学教員をしている一人の友人を呼び、ビールなど振舞いながら引止めて、その夜、無理に泊めてしまった。隣室に寝かし、室の片隅に刀をひそかに置き、素知らぬ顔をしていた。