Japanische Klassiker mit Furigana
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おそろしきさくご
恐ろしき錯誤
江戸川 乱歩
Lesen Sie 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.075 Zeichen · 46 Bildschirme
僕は飛び起ると直ぐ様子供を抱えて走り出しながら、床の上に起上って身繕いしている妻に、『早く逃げろ、子供は俺が連れて行くぞ』と呶鳴ったのだった。併し、それが果して、顛動していた妙子の耳に通じたかどうか。何を考える暇もなく、本能的に飛び出したあとで、始めて子供のことに気づいたという様なことではあるまいか。そして、『坊や、坊や』と叫びながら、家の前をうろついていたのではあるまいか。ああいう異常な場合には、ふだんとはまるで違った心理作用が働くものだ。その証拠には、僕自身にしても、二度目に、荷物を運んで、越野の家へ走っている間に、『はてな、子供はどうしたかしら』という考で、幾度となく心臓をドキドキさせた位だもの」
北川氏は、ここで少し言葉を切って、その効果を確める様に野本氏の様子を伺った。
そして、野本氏が一層蒼ざめて、歯を食いしばっているのを知ると、満足らしく肯いて、話を最も肝要な点に進めて行った。
「ここにある一人の執念深い男があって、ある女に深い恨みを抱いていたと仮定する。男はどうかして、その恨みをはらそうと執念深く機会を狙っている。すると、ある時その女の家が火事に逢う。