Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

Lesen Sie 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.075 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

何も知らぬ婆やが周章てて、彼の下駄を直しに出て来た。彼は躍る様な足取りで玄関の式台へ下りたとたんに、ドサリという音がした。

北川氏は婆やの上に重って、無様に倒れていた。彼は興奮の余り痺れが切れたことすら意識しなかったのだ。

「かくして俺は勝ったのだ」

北川氏は満悦の体で、まだ歩きつづけていた。

「彼奴はあのメダルを永久に手離し得ないのだ。棄てようとしても、どうにも棄てられないのだ。いや、メダルそのものは仮令棄てることが出来ても、彼奴の頭の中には、いつまでも、いつまでも、恐らく墓場の中までも、持主の姿を代表する様にあのメダルがこびりついていることだろう。『これ程自分を思って呉れた人を、俺はこの上もない残酷な手段で焼殺して了ったのだ』奴は取り返しのつかぬ失策に、毎日毎日嘆き悶えることだろう。こんな気味のいい復讐があるだろうか、何という申分のない手際だろう。流石は北川だ。お前は偉い。お前の頭は、日頃お前が信じている通り、実にすばらしいものだなあ」

北川氏の歓喜は勝利の悲哀に転ずる一刹那前のクライマックスに達していた。

彼は今、歩きつづけながらベースボールの応援者達が、「フレー、フレー、何とかあ」