Japanische Klassiker mit Furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Lesen Sie 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) von 宮島 資夫 (みやじますけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.611 Zeichen · 56 Bildschirme
空は物思う種すら与えないほど、涯しなく深く澄んでいた。
その時彼はフト、「自分がこの山に来てからもう八ヵ月になる」と思った。が、それと同時に、また例の癖が出た――と自分で嘲笑うような気になった。
実際彼が就職してからの月を数えると言うことは、今日に始まったことではなかった。十三の時に小僧に出て、二十四の秋までに十四五度も職業を取り替えた彼は、何処に行っても一年と続いたことは稀れであった。
彼の行く先々には、必ず馬鹿気た不愉快なことがつきまとっていた。
「何のために生きてるんだか解らない世の中に、何だってこんな嫌な事を辛抱しなきゃならないんだ」
こんな事を考えて、折角探し当てた仕事を休んで寝転んでいたために、職業を失ったことも幾度かあった。そんな時に彼は、「死んだっても構うもんか」と言うような気にもなっていた。けれども差し迫るひもじさは、矢張り彼を働かせずには措かなかった。彼はまた職業を探し廻った。そしてやっと尋ね当てると、同じようなことを考えたり喧嘩をしたりして、また失うのが例であった。
何時かしら彼は、新らしい職業にありつくと、一月経った、二月経ったと、何の事はない、丁度囚人が刑期の明けるのを待つように、過ぎ行く月日を数えることが癖になった。