Japanische Klassiker mit Furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Lesen Sie 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) von 宮島 資夫 (みやじますけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.611 Zeichen · 56 Bildschirme
杉皮で屋根を葺いて、四方を硝子で張った見張りの中は、わけても熱かった。池田は砂だらけのテーブルに頬杖を突いて、フルスカップに書いた坑夫の賃金表を調べていたが、ジッと見詰めている中に、人の名も数字もただ一本の線になって、見直しても見直しても、うるんだ目からは涙ばかりが滲み出した。
彼は、こんなことは何うでもいい、せめて今日一日だけでも、涼しいところで静かに過したいと思った。そして二三日前に、隣りの山で旧坑を掘り始めたと言うことを、誰かから聞いたのを思い出した。
隣りの山とこの山との間には、鉱区のことでの争いがまだ続いている。今度掘り始めた旧坑と言うのは、何んなものか一度見ておきたいとも彼は思った。
昼飯の時に、池田は係長の鈴木に、
「押野の方で、旧坑を掘り始めたって言うから見て来たいと思うんだけれど」と、言った。
鈴木は、
「見て来給え、岩屋へでも行って休んで来たら気持が好くなるだろう」と、笑いながら言った。
池田は直ぐ小使に、
「二号の頭に、誰か隣りの山へ行った者を連れて来てくれと言え」と言いつけた。
間もなく飯場頭の萩野は、三田という坑夫を連れて見張りへ来た。