Japanische Klassiker mit Furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Lesen Sie 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) von 宮島 資夫 (みやじますけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.611 Zeichen · 56 Bildschirme
と、巡査は気掛りらしく訊ねた。
池田は、その事があって以来、坑夫に何の変りもないことを思った。
丁度其処へ、坑内の見廻りをしていた鈴木が、カンテラをぶら下げて泥だらけになって帰って来た。池田はすぐ、
「鈴木さん、これは孫根の駐在所の方だそうだけど、塩子のことで、坑夫を調べに来られたんだそうだ」と引き合せた。
「アア、そうか」と鈴木は一寸会釈をしてから、
「坑夫は今坑内と飯場に半分ずついますが。作業中のものはみんな呼ぶわけに行きませんから、御用だったら坑内でも飯場でも調べたら好いでしょう」と、無愛想な顔をして言った。
「坑内と飯場ですか、それは困りましたな、実はその三田という坑夫を一寸呼んでいただきたいのですが」と、巡査は四周を憚るような声で言った。
「三田がどうかしたんですか」と池田が口を出した。
「イヤ、一寸参考に聞きたいことがある丈けで、三田は別に――」と巡査は、何事もないように言った。
池田は三田と聞くとギョッとした。それはこの前、隣りの山で萩野が喧嘩をした時に、三田が傍にいたことを考え出したからであった。けれども、今三田の女房は身持になっている。女房子のことを忘れてまで、喧嘩をしはしまいと無理にも考えてみたりした。