Japanische Klassiker mit Furigana
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あくそう
悪僧
田中 貢太郎
Lesen Sie 悪僧 (あくそう) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.516 Zeichen · 11 Bildschirme
人の背丈け位の穴が斜にできていた。で、それに跟いて往くと、三畳敷位の広い巌窟になって、その下の微暗い処に白骨になりかけた死骸が横わっていた。胆力のある李張はその死骸に近寄った。
老宰相と供の者は窟の口へ来て内を覗いていた。李張は朽ちかけた衣服に包まれた白骨を抱いてその眼の前にあらわれた。
「伜だ、伜の衣服だ」
老宰相は泣きながら白骨に縋りついた。
「閣下、いよいよ御子息にそういありませんならば、更めて山寺へお葬りになるが宜しゅうございましょう、そのうえで、私から閣下に申しあげたいことがございます」
李張は白骨を抱いたなりに云った。
「お前さんは神人だ、どうして伜の死骸がここに在ることを知りなされた」
老宰相は涙を眼に湛えて聞いた。
「これは昨夜、御子息が、夢に私にお話になりましたから、知っております」
「ほう、伜が」
「そうでございます、御子息が私の夢にあらわれて、まだ他にもいろいろお話がありました」
「それでは、伜は、虎に喫われたのじゃないだろうか」
「虎ではありません、悪漢の手にかかったものであります」
老宰相はまた泣きだした。
老宰相は伜の寡婦のいる内房の西房へ入って往った。