Japanische Klassiker mit Furigana
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あくいんねんのうらみ
悪因縁の怨
江見 水蔭
Lesen Sie 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.705 Zeichen · 28 Bildschirme
と宗匠は立って行った。
「海ですよ。一枚切りですが、滅法威勢が好いので……それから石鰈が二枚に、舌平目の小さなのが一枚。車鰕が二匹、お負けで、二百五十文だてぇますから、三百置いて来たら、喫驚しておりましたよ」
「じゃア丸で只の様なもんだ」
嬶さんは口を出して。
「あれまア、二百で沢山だよ、百文余計で御座いますよ」
「一貫でも、二貫でも、江戸じゃア高いと云われないよ。何しろこのピンピンしているところを、お嬶さんどうにかして貰えないだろうか」
「一寸家まで行って、煮て来ましょうで」
「お前の家まで煮に帰ったのじゃア面白く無い。ここで直ぐ料理に掛けるのが即吟で、点になるのだ。波の花が有るなら石鰈と舌平目は、塩焼にして、海と鰕を洗いというところだが、水が悪いからブツブツ切りにして、刺身で行くとして、紫は有るまいねえ」
「別当さんのところへ御無心に行って参りましょう」
「そうして貰おう。御前、愚庵の板前をまア御覧下さい」
この宗匠、なんでも心得ている。持参の瓢酒で即席料理、魚が新鮮だから、非常に美味い。殊に車鰕の刺身と来たら無類。
「魚は好し、景色は好し、これで弁天様が御出現ましまして、お酌でもして下さると、申分は無いのだが……」