Japanische Klassiker mit Furigana
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あくむ
悪夢
豊島 与志雄
Lesen Sie 悪夢 (あくむ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.930 Zeichen · 32 Bildschirme
そんなことを考えまわすと、息が苦しくなってきて、今にも窒息しそうな気持さえする。このままで年を取っていったらどうなるのか? 自分の若い生命はどうなるのか? せめて、大空の下で大地の上で、大きく息をでもつけたら……。然し凡てが狭苦しくて惨めである。風通しも日当りも悪い三畳の室、それから外に出ても、軒並に切取られた狭い空、薄濁りのした空気、その空気を通してくる蒼ざめた日の光、そしていつも、満員の電車、人の群、それからまた、緑の木の葉一つ見えない、地下牢みたいな頑丈な檻――数字ばかりが積み重ってる会社の室。凡てのものが、私の精神をばかりでなく、私のこの肉体をも、蒼白く萎びさしてしまう。ああせめて、力一杯にぶつかってゆけるものでもあったら……。然しこの都会の真中では、人の体力を要求するようなものは、何一つとしてない。鍬を取って掘り返すべき、一隅の地面もない。鋸や斧を振うべき、一片の木株もない。息の限り走り廻られる、広々とした草原の面影もない。そして生活は、大地を離れた繁忙な事務の中に閉じ籠められ、一つ所に動きがとれぬほど固定され、毎日同じことを繰返す機械のようになされて、額ににじみ出る汗は、筋肉を働かせることから来る力強い爽快な汗ではなくて、日光と空気とが不足して窒息してゆく、じりじりとした生汗である。