Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくむ

悪夢

豊島 与志雄

Lesen Sie 悪夢 (あくむ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.930 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

私は力無い危っかしい足取りで、曲りくねった小路をつきぬけ、近くの公園へ辿りついて、池の近くのベンチに坐った。昨日から曇ったままの暗い陰鬱な空、ぼーっと盲いた薄ら明り、濁ったままどんよりと湛えてる池の水、黙りこくった剥げちょろの建物、凡てが重々しく私の心にのしかかってきた。

私は長い間身動きもしなかった。汚い忌わしい臭気に染みながら、身体の内部のものがすっかり吐き出されてしまったような、変に頼りない空しさを覚えた。その空しさに眼をつぶっていると、何処からか冷々とした風が流れてきた。私は夢からさめたように顔を上げた。何とも云えない気持だった。灰汁を払い落した病後の力無い健かさとも、またはすっかり圧倒されつくした疲憊の極とも、何れとも分たない清々しさだった。そして私は思うさま胸の奥底まで、冷たい空気を吸い込んだ。吸い込んではまた吸い込んだ。軽々と胸の底まで息の出来ることは、何よりも一番いいことだ。私はベンチに腰を掛けたまま、両足をばたばたやってみた。

その時何かしら下駄の先に、冴えた音を立てるものがあった。屈み込んでよく見ると、一銭銅貨が一つ落ちていた。