Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lesen Sie 悪獣篇 (あくじゅうへん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.715 Zeichen · 73 Bildschirme
、顔の地蔵に似たなどは、おかしと現にも思ったが、いつごろ、どの時分、もう一人の嫗が来て、いつその姿が見えなくなったか、定かには覚えなかった。たとえば、そよそよと吹く風の、いつ来て、いつ歇んだかを覚えぬがごとく、夕日の色の、何の機に我が袖を、山陰へ外れたかを語らぬごとく。
さればその間、およそ、時のいかばかりを過ぎたかを弁えず、月夜とばかり思ったのも、明るく晴れた今日である。いつの程にか、継棹も少年の手に畳まれて、袋に入って、紐までちゃんと結えてあった。
声をかけて見ようと思う、嫗は小屋で暗いから、他の一人はそこへと見遣るに、誰も無し、月を肩なる、山の裾、蘆をの寝姿のみ。
「賢、」
と呼んだ、我ながら雉子のように聞えたので、呟して、もう一度、
「賢君、」
「は、」
と快活に返事する。
「今の婆さんは幾歳ぐらいに見えました。」
「この茶店のですか。」
「いや、もう一人、……ここへ来た年寄が居たでしょう。」
「いいえ。」
十三
「あれえ! ああ、あ、ああ……」
恐かった、胸が躍って、圧えた乳房重いよう、忌わしい夢から覚めた。――浦子は、独り蚊帳の裡。身の戦くのがまだ留まねば、腕を組違えにしっかと両の肩を抱いた、腋の下から脈を打って、垂々と冷い汗。