Japanische Klassiker mit Furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lesen Sie 悪獣篇 (あくじゅうへん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.715 Zeichen · 73 Bildschirme
さてもその夜は暑かりしや、夢の恐怖に悶えしや、紅裏の絹の掻巻、鳩尾を辷り退いて、寝衣の衣紋崩れたる、雪の膚に蚊帳の色、残燈の灯に青く染まって、枕に乱れた鬢の毛も、寝汗にしとど濡れたれば、襟白粉も水の薫、身はただ、今しも藻屑の中を浮び出でたかの思がする。
まだ身体がふらふらして、床の途中にあるような。これは寝た時に今も変らぬ、別に怪しい事ではない。二つ目の浜の石屋が方へ、暮方仏像をあつらえに往った帰りを、厭な、不気味な、忌わしい、婆のあらもの屋の前が通りたくなさに、ちょうど満潮を漕げたから、海松布の流れる岩の上を、船で帰って来たせいであろう。艪を漕いだのは銑さんであった、夢を漕いだのもやっぱり銑さん。
その時は折悪く、釣船も遊山船も出払って、船頭たちも、漁、地曳で急がしいから、と石屋の親方が浜へ出て、小船を一艘借りてくれて、岸を漕いでおいでなさい、山から風が吹けば、畳を歩行くより確なもの、船をひっくりかえそうたって、海が合点するものではねえと、大丈夫に承合うし、銑太郎もなかなか素人離れがしている由、人の風説も聞いているから、安心して乗って出た。
岩の間をすらすらと縫って、銑さんが船を持って来てくれる間、……私は銀の粉を裏ごしにかけたような美しい砂地に立って、足許まで藍の絵具を溶いたように、ひたひた軽く寄せ