Japanische Klassiker mit Furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lesen Sie 悪獣篇 (あくじゅうへん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.715 Zeichen · 73 Bildschirme
三角形の砂地が向うに、蘆の葉が一靡き、鶴の片翼見るがごとく、小松も斑に似て十本ほど。
暮れ果てず灯は見えぬが、その枝の中を透く青田越しに、屋根の高いはもう我が家。ここの小松の間を選んで、今日あつらえた地蔵菩薩を――
仏様でも大事ない、氏神にして祭礼を、と銑さんに話しながら見て過ぎると、それなりに川が曲って、ずッと水が狭うなる、左右は蘆が渺として。
船がその時ぐるりと廻った。
岸へ岸へと支うるよう。しまった、潮が留ったと、銑さんが驚いて言った。船べりは泡だらけ。瓜の種、茄子の皮、藁の中へ木の葉が交って、船も出なければ芥も流れず。真水がここまで落ちて来て、潮に逆って揉むせいで。
あせって銑さんのおした船が、がッきと当って杭に支えた。泡沫が飛んで、傾いた舷へ、ぞろりとかかって、さらさらと乱れたのは、一束の女の黒髪、二巻ばかり杭に巻いたが、下には何が居るか、泥で分らぬ。
ああ、芥の臭でもすることか、海松布の香でもすることか、船へ搦んで散ったのは、自分と同一鬢水の……
――浦子は寝ながら呼吸を引いた。――
――今も蚊帳に染む梅花の薫。――
あ、と一声退こうとする、袖が風に取られたよう、向うへ引かれて、靡いたので、此方へ曳いて圧えたその袖に、と見ると怪しい針があった。