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Japanische Klassiker mit Furigana

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あくじゅうへん

悪獣篇

泉 鏡花

Lesen Sie 悪獣篇 (あくじゅうへん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.715 Zeichen · 73 Bildschirme

Aozora Bunko

蘆の中に、色の白い痩せた嫗、高家の後室ともあろう、品の可い、目の赤いのが、朦朧と踞んだ手から、蜘蛛の囲かと見る糸一条。

身悶えして引切ると、袖は針を外れたが、さらさらと髪が揺れ乱れた。

その黒髪の船に垂れたのが、逆に上へ、ひょろひょろと頬を掠めると思うと――(今もおくれ毛が枕に乱れて)――身体が宙に浮くのであった。

「ああ!」

船の我身は幻で、杭に黒髪の搦みながら、溺れていたのが自分であろうか。

また恐しい嫗の手に、怪しい針に釣り上げられて、この汗、その水、この枕、その夢の船、この身体、四角な室も穴めいて、膚の色も水の底、おされて呼吸の苦しげなるは、早や墳墓の中にこそ。呵呀、この髪が、と思うに堪えず、我知らず、ハッと起きた。

枕を前に、飜った掻巻を背の力に、堅いもののごとく腕を解いて、密とその鬢を掻上げた。我が髪ながらヒヤリと冷たく、褄に乱れた縮緬の、浅葱も色の凄きまで。

十六

疲れてそのまま、掻巻に頬をつけたなり、浦子はうとうととしかけると、胸の動悸に髪が揺れて、頭を上へ引かれるのである。

「ああ、」

とばかり声も出ず、吃驚したようにまた起直った。