Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せきべつ

惜別

太宰 治

Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうかあ。」と津田氏は大声を発し、「君はいい奴だ。藤野先生に告げ口したのはけしからんが、しかし、あれは僕が悪かったんだ。よし、飲もう。今夜は三人で、また鳥のたたきを食べよう。万歳。」津田氏は既にいくらか酔っているようであった。

戦いにはどうしたって、絶対に、勝たなければならぬものだとその夜つくづく思った。勝てばいいんだ。津田氏の所謂外交上の深慮も何も一ぺんに吹飛んでしまうのだ。津田氏だって、憂国の好青年だった事においては変りは無いのだ。彼がその夜、周さんに聞えないように小声で私に白状したところに拠ると、彼は二箇月前、バルチック艦隊出発近きにありの報を聞き、旅順陥落せざるうちにその大艦隊が日本に押寄せて来たらどうしようと心配のあまり、人皆うたがわしく見えて来て、周さんがひとりでこっそり松島へ出掛けて行ったのも、或は露国のスパイとして、かの松島湾の深浅を測量し、もって露国の艦隊をここに導き入れ、仙台市の全滅をたくらんでいるのではなかろうかと、何が何やら、旅順が落ちないばかりのむしゃくしゃの八つ当りであの夜、私に説教したのだという。私はそれを聞いて内心大いに呆れたが、しかし、もういいのだ。