Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
入学当初、ただ矢鱈に興奮して仙台の街を歩きまわってばかりいて、実は、学校の授業にも時々、無断欠席をしていたのである。これでは、他の新入生たちと疎遠になるのも当り前の話で、その松島遊覧の船でひとりの新入生と顔を合せた時も、私は、ひやりとして、何だかひどく工合が悪かった。私は船客の中の唯一の高潔な学徒として、大いに気取って、松島見物をしたかったのに、もうひとり、私と同じ制服制帽の生徒がいたのではなんにもならぬ。しかもその生徒は都会人らしく、あかぬけがしていて、どう見ても私より秀才らしいのだから実にしょげざるを得なかったのだ。毎日まじめに登校して勉強している生徒にちがいない。涼しく澄んだ眼で私のほうを、ちらと見たので、私は卑屈なあいそ笑いをして会釈した。どうも、いかぬ。烏が二羽、船ばたにとまって、そうして一羽は窶れて翼の色艶も悪いと来ているんだから、その引立たぬ事おびただしい。私はみじめな思いで、その秀才らしい生徒からずっと離れた片隅に小さくなって坐って、そうしてなるべく、その生徒のほうを見ないように努めた。きっと東京者にちがいない。早口の江戸っ子弁でぺらぺら話しかけられてはたまらない。