Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
来て、ひとめそのお姿を拝見したいという慾望が涌然と起って来た。私は立ち上って、そのひどい歌声をたよりに山をめぐった。或いはすぐ近くに聞え、或いは急に遠くなり、けれども絶えずその唱歌の練習は続いて、ふいに、私は鉢合せするほど近く、その歌の主の面前に出てしまった。私もまごついたが、相手は、もっと狼狽したようであった。れいの秀才らしい生徒である。白皙の顔を真赤にして、あははと笑い、
「さきほどは、しつれい。」とてれかくしの挨拶を述べた。
言葉に訛りがある。東京者ではない、と私はとっさのうちに断定した。たえず自分の田舎訛りに悩んでいる私はそれだけ他人の言葉の訛りにも敏感だった。ひょっとしたら、私の郷里の近くから来た生徒かも知れぬ、と私はいよいよこの歌の大天才に対して親狎の情を抱き、
「いや、僕こそ、しつれいしました。」とわざと田舎訛りを強くして言った。
そこはうしろに松林のある小高い丘で、松島湾の見晴しも、悪くなかった。
「まあ、こんなところかな?」と私はその生徒と並んで立ったまま眼下の日本一の風景を眺め、「僕はどうも、景色にイムポテンツなのか、この松島のどこがいいのか、さっぱり見当がつかなくて、さっきからこの山をうろうろしていたのです。