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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんじのあと

惨事のあと

素木 しづ

Lesen Sie 惨事のあと (さんじのあと) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.258 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

三人の子供を抱えて他の家に厄介になった気苦労も、あのやさしい美しい嫁さんの為めに、忘れて仕舞ってた位であった。おかみさんは、いろ/\思出すごとに、断片的に楯井さんに聞くのであった。

『おなかさんは、あんないゝ人だに。山崎の亭主は、まるっきり家にいないからあんな事になったんだ。』

と、おかみさんは山崎の亭主のことを、恨めしく思ったりした。楯井さんは、おかみさんがどんな事を云っても、外のことを考えていた。そしてなんという事もなくお寺さんの話を、いつも思出しているのであった。楯井さんは急に、

『お寺さんの話では、おなかさんが殺された晩、ひどい音がして朝見ると、御堂の前に血がうんと散らばっていたと云った。きっとおなかさんの知らせだろう。』

と、非常に陰気な様子をして云った。けれどもおかみさんは、そんな話を少しも気にかけない。

『あのお寺さんの話しだもの。あてんならない、そんな事が今時世の中にあってたまるもんか。あんないゝおなかさんが、おばけになるなんてそんなわけはない。』

と、なんでもないことのように云ってしまった。楯井さんは、それきり何にも云わなかった。

それから丁度一週日ばかり、毎日雨が降りつゞいた。