Japanische Klassiker mit Furigana
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さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Lesen Sie 惨事のあと (さんじのあと) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.258 Zeichen · 23 Bildschirme
楯井さんの家では別にかわったこともなく、毎日雨が降っても汗を流して開墾に勉めた。
ある晩、ながい間降りつゞいていた雨が、夕方からカラッとやんで、なんとも云えない静かな雨上りの夜となった。楯井さんの家では麦を夜中かゝって煮る為めに、大きな鍋が少しばかり突込んだ薪の火にかけてあった。火は勢なくトロ/\と燃えていた。三人の子供は、もう寐静まっている。楯井さんのおかみさんは、大きな湯沸に水をくもうと思って外に出ると、まもなく変な顔をして戻って来た。
『父さん、あれはなんだろか。樹の株の上にいる光ったものは。』
と、青い顔をして、後を振りかえり振りかえり小屋に入って来た。楯井さんは、黙って土間にあった太い長い棒切を握って、そっと外に出て見た。井戸のすぐ側の太い樹の切株の上に、青い大きな光る珠がのっていた。
おかしい、と楯井さんは口の中で云って、その側へ静かに歩みよると、首をのばして熟視した。火の玉は、玉の心まですきとおっているようで、また表面だけ光っているようでもある。楯井さんは、その太い長い棒で力まかせに叩きつけた。青い光りの玉は、何の音もせずに消えた。楯井さんはふと変な気がした。