Japanische Klassiker mit Furigana
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さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Lesen Sie 惨事のあと (さんじのあと) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.258 Zeichen · 23 Bildschirme
棚は煙ですゝけて、やはりすゝけ切った位牌らしいものがのっていた。
楯井さんは、そこに火をともしたが、別に両手を合せもしないで、静かに戸口の方に行ったが、その右手には何か棒切のようなものを持っていた。
楯井さんは、入口のむしろを開いて外をのぞいた。しかし彼の眼には彼の心が感じたようなものはうつらなかった。楯井さんは二三歩ずつ進んだ。そしてあたりを見まわしながらまた二三歩歩いた。楯井さんは自分の手に棒切を握っているのに気付くと、自分で恥かしそうにそれを投げた。そしてまたあたりを見まわした。楯井さんは非常に不安でならなかった。自分が何かの因果をうけたように、心苦しくそして淋しかった。楯井さんは、自分の家も自分の存在も忘れたように、何かの不思議な心につゝまれた。彼れの心は闇の中を辿っているようであった。しかし楯井さんはまた歩き出した。そしてあの樹の株の所へ行った。彼は何かその樹の株が、不思議の元であるまいかと考えて、それを究めようと思った。
楯井さんは、樹の株の前の所まで行ったけれどもまた戻って来た。そしてあとへ引かえしながら、小屋の入口をみた。彼は今の不思議なものゝなにかのつながりを見たいように思った。