Japanische Klassiker mit Furigana
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さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Lesen Sie 惨事のあと (さんじのあと) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.258 Zeichen · 23 Bildschirme
あんの定、それは嫁さんの死体であった。右の肩から頭へかけて、余程残忍にやられて、肉が飛び散って仕舞ったのであろうか、着物の上からではあるけれども、右肩は全く切り取られてしまったように思われた。この死体もまた、血にまじった長い黒髪が乱れてぞっとするような心持がした。それに死体を家のなかに運び入れた人だちが、乱暴に二三尺も上から死体をほうり投げて置いたかのように、うつむきになって、身体が斜にねじれているので、なんとなくこゝで殺されたように思われた。そして、左の手は掌を上にして丁度腕の関節の所から現われて、紫色の影の中に黄色い手の色が物凄く浮いていた。
楯井さんは、線香のもうなくなりかけてるのを見ると、自分で長い線香に火をつけて、急に男泣きに泣き出すと、ぽた/\と膝の上に涙を落した。そしてまた不意に気がついたように、落した涙をふきながら、
『誰れか、警察にやってくれましたかい、』
と、云ったけれども、誰れに問うてよいのやら解らないので、急に語尾を低くおとしてしまった。
『馬で走らしたんだが、まだ帰って来るにゃはやい。』
と、楯井さんには見馴れない一人の男が云った。