Japanische Klassiker mit Furigana
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あいとにんしきとのしゅっぱつ
愛と認識との出発
倉田 百三
Lesen Sie 愛と認識との出発 (あいとにんしきとのしゅっぱつ) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.420 Zeichen · 129 Bildschirme
ただこの意識中心の推移するのかと思うような心の動乱と寂寥と憧憬とを持てあましつつ生きていった。
私は狂うような手紙をO市の友に幾度出したかもしれない。淋しさと怖ろしさとに迫られては筆をとった。霖雨のじめじめしい六月が来た。その万物を糜爛せしめるような陰鬱な雨は今日も今日もと降りつづいた。湿めっぽいうっとうしい底温かいような気候が私にいらだたせるような不安を圧迫した。私はこの熱を含んだ、陰気くさく淡曇った天の下に、蒸し暑い空気のなかに、手のつけようのない不安な気持ちに脅かされながら生きねばならなかった。
試験準備で忙わしい友達の間に何も手につかないでぼんやりしてるのが辛いので、私は筑波山へ旅に出たことがあった。私は淋しいもの哀しい旅をした。筑波山はまっ白い霧に抱かれて黙っていた。私はただ独り山道をとぼとぼ登りながら、自然は冷淡なものだとつくづく思った。この淋しい自己を託さんとする自然は私には何の関わりもないもののように冷然として静まり返っていた。私はとりつくしまもなかった。私がよしやそこに立ってる大樹の肌に抱きついて叫んだとて、雨に濡れたる黒土に噛みついて号泣したってどうともなりはしないではないか。