Japanische Klassiker mit Furigana
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あいとにんしきとのしゅっぱつ
愛と認識との出発
倉田 百三
Lesen Sie 愛と認識との出発 (あいとにんしきとのしゅっぱつ) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.420 Zeichen · 129 Bildschirme
私は抱きつく魂がなくてはかなわないと思った。私の生命にすぐに燃えつく他の生命の※(「火+稻のつくり」、第4水準2-79-88)がなくては堪えられないと思った。魂と魂と抱擁し、接吻し、嘘唏し、号泣したかった。その抱擁の中に自己のいのちが見いだしたかった。
私は山頂の茶店の古ぼけた登山記念帖に次のようなことをなぐり書きに書きのこしてひとり淋しく山を下りた。
何者かを求めて山に来りき。されど求むるところのものは自然にてはあらざりき、人なりき、愛なりき。たとい超越的の神ありたればとてわれにおいて何かせん。ああ人格的、内在的なる神はなきか。わが霊肉を併せて抱擁する女はなきか。
山から帰ってから、私の心はいっそう淋しくなった。そしていっそう切迫してきた。しかし私は私の心の不安と動揺とにほぼ明らかなる形をあたえることができた。それは私の生命の憧憬の対象があたえられないからだと思った。その憧憬の対象すらも判然とは定まっていなかったけれど、それは人格物でなければならないことだけは解った。私は他の人格を求めてるのだ。他の生命を慕うていたのだ。私は自己のみで生きるに堪えないのだ。