Japanische Klassiker mit Furigana
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あいとにんしきとのしゅっぱつ
愛と認識との出発
倉田 百三
Lesen Sie 愛と認識との出発 (あいとにんしきとのしゅっぱつ) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.420 Zeichen · 129 Bildschirme
一度は恐れ戦いてこの声にひれ伏した。が倨傲な心はぬっと頭を擡げる。
「いくら苦しくても、意義が不明でも、雲の中へ消え込んでも、その原因は私の意志どおりをやってきたからだ。世の中に思いどおりをやるほど好いことがあるものか。それに私はある女(真理)に恋慕してるのだ。なるほど対手の顔はまだ見ない。しかし彼女はきっと美しい崇い顔を持ってるに違いない。まだ見ぬ恋の楽しさを君は知るまい。私の恋が片思いに終わるとは断言できまい。今に彼女は必ず私に靡くよ。白い雲の上で私を呼んでいる彼女の優しい上品な声が聞こえるような気がする。考えてもみたまえ。互いに胸を打ち明けてからもおもしろかろうが、打ち明けぬうちも捨てがたいではないか。私はいかにしても思い切る気はない」
君、僕はこんなことを考えて沮喪する心を励ましているのだよ。いつもの話だがどうもわが校には話せる奴がいない。O市の天地において僕は孤独の地位に立ってる。から騒ぎ騒ぐ野次馬、安価なる信仰家、単純なる心の尊敬すべき凡骨、神経の鋭敏と官能のデリカシイとに鼻蠢かす歯の浮くような文芸家はいるが、人生に対する透徹なる批判と、纏綿たる執着と、真摯なる態度とを持して真剣に人生の愛着者たらんと欲する人は無い。