Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
控え室で、いつのまにか横に来ていた安達が、玉子をのせたハンバーグのサンドイッチに齧りつきながら声をかけた。「もし嫌いじゃなかったら、頼みがある」
「ダーチー、よせよ」鏡に見入りながら兄がいった。
「いいじゃねえかよ」安達は狡そうな目で笑った。彼は皆に、米兵たちからと同様にダーチーと呼ばれている。「俺が坐っているつもりで準備してきたんだが、俺はいろいろと用もあるしな、坐ってるだけくらい、坊やで代用できるだろう」
「なんのことです?」と信二は訊いた。
「ドラマーが急にやめたんだよ。いろんな事情がありましてね」
「あんたがあまり文句をつけたからさ」と楽団の一人がいった。安達はそれに答えず、長い顎を左手でさすりながら、眼鏡越しに笑うような目で信二を見た。「でもな、どうもドラムが置いてないことには恰好がつかない。ここはキャバレエやクラブとはちがう、見た目の恰好だけついてりゃそれで文句ねえんだ。どうだ坊や、あんた、なにもしなくていい、ひとつさもドラマーみたいな顔して、ここでだけ太鼓のうしろに坐っててくれないかね」
すっかり髪に櫛を入れた兄がそこに来ていた。「よせ」声は怒っていた。