Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

開始前にみることのできなかった日は、ステージの合間ごとに便所に行くふりをしてみつけ出しに行った。信二は見るだけのことでよかった。女は米兵によりへだてられてしまっている。それを確実にすることだけが、せめてもの彼の仕事だった。女を見る。沁みわたるように冴えた空白にとらえられて、彼はたたずむ。彼を吸収し、彼を無に帰してしまうそのイメェジが、彼にはひとつの生活の必要のようにさえ感じられた。自分を透明にしてしまう力に、彼はつねに渇いていた。

荻村はいった。「坊や、試験勉強でたいへんだろ?」あわただしく松の内のすぎた水曜日で、信二はいつもの通り楽譜をかつぎに横浜の彼の家に来ていた。

「たいしたことはないです、授業はめったに休んでないから」答えながら信二は一反風呂敷を背負いあげた。新曲のジャズの楽譜は、入手するのがまだ困難な時代だった。兵士たちから買うヒット・キットも新曲の全部がそろうというわけではなく、しぜん写譜が多くなって、楽譜の包みは重くかさばる一方だった。それを持ちはこぶのは信二の当然の仕事のひとつだった。

「だいじょぶ?」いっしょに表に出て、荻村はたずねた。