Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
池に銀いろの二本の水尾をひいて、鴨が置物のような姿勢のままで動いていた。
もう、終ったのだ、と彼は思った。たぶん、ふたたびあの女に逢うこともできないだろう。おれが「黒の女」にみていたのは、姉のようなやさしさ、自分をそっくり抱きとってくれるやさしさ、自分を透明なからっぽにしてしまうしずかな光だった。おれは、おれ自身の喪失を、その力を、彼女にもとめていた。
信二は、安達の誤解を思い出した。あの夜、意識をなくしていた信二を抱えおこし、さっそく宿へつれて行って介抱してくれたのが安達だった。安達は、だが、黒い服の女に惹かれている信二を知っていたのだった。「おれがステージのあいだ、いったいなにをしてると思ってるんだ?」と彼はふだんの笑顔でしゃべった。相手の男が小肥りの縮れ毛の少尉だとも、安達は娘に聞いたらしく、彼は信二がホールで「黒の女」と強引にダンスをしようとしたその粗暴を怒って、少尉を殴りに表に出たのだと理解していた。
「ちがう」と信二はいった。「そんなんじゃない」
「じゃなぜお前はおれに便所に行く、なんていった? 便所に行かなかったことは娘に聞いているさ。