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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

ガムを噛んでいる。

屈託のない表情で女は周囲に目を向けなかった。信二は立ちつくした。女はいちだんと背が高く、美しくて、溌剌としていた。信じられなかった。

だが、やはりまちがいではなかった。見おぼえのある真珠の首飾りが、ながい首のしたに巻かれている。眦のあがった眼と、白い小さな頤があった。

「坊や、あんた、……坊やじゃない?」

背の低い毒々しい唇が声をかけた。茅ヶ崎で、一二度煙草を売りつけようとした女だった。ほかの女たちの顔も思い出した。もう、間違いはなかった。

「いやあ、たしかに坊やだよう、すっかり大人っぽくなっちまって……あんた、いまどこの仕事してんの? このへんのキャバレエに出てんのかい?」

「……バンドはやめたよ」と、信二はやっといった。女は一人だけ立ちどまって、ガムを噛みながらなれなれしく笑いかけた。

「いまなにしてんのさあ、坊や」

「君たちこそ、なにをしている」

立ちばなしの恰好をつくりながら、ようやく落着きをとりもどすのがわかった。信二も笑いかけた。「どこへ行くの? 御旅行かい?」

「なによう、のん気なこといって、御旅行かい、だなんてよう」肩をむき出しにした黄いろいワンピースの女は、ほがらかで、そしてひどく醜かった。