Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
どっちでも、かまやしない。朝鮮ではアメリカ軍は勢いを盛りかえしてきていた。マッカーサーは一挙に敵軍を殲滅すると豪語し、しかし信二には、戦争が日本に波及しない日を予想しての心の準備をすることはできなかった。信二は、あてどなくホームを往復して、出陣して行く米軍の兵士たちの列を見ていた。笑い声がおこり、口々にガムを噛んだ彼らは、たがいに話しあってまた笑った。笑いの原因は、こちら側のホームを這いずるように歩いて行く、一人の乞食のような汚れた風態の老婆にあるらしい様子だった。「ヘイ!」線路ごしに、兵士たちのひとりがチョコレートをほうった。それが老婆の前に落ちた。老婆は濁った目で兵士たちのホームをみて、それを拾い、肩にかけた袋にひょいと入れる。また歩き出そうとする。「ヘイ!」「ヘイ!」兵士たちはわれもわれもとキャンデイや煙草までを老婆にほうり投げた。ワインド・アップをしてぶつける目的のように速く投げる者もあった。丸刈りの日にやけた跣の少年たちが、蟻のようにたかり拾いはじめた。
信二はただ、濃いそばかすのういた桃いろの肌の連中、大きな掌、長い脚と透きとおったガラス玉のような眼とをもった連中、それら異質の動物たちの人生、そして方法が、けっして彼の皮膚の内側には入ってこないことだけを感じていた。