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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

……たしかに「愛」はない。「資格」もない。が、いったい、それがなんだろうか。それはいわば私だけの部分、人びとがすべてかくしもっている隠微な秘密の部分への幼い拘泥ではないのか。女がはじめて泊った朝、そして昨夜、自分がいやでもこの女といっしょに、その中にいるのを感じざるをえなかったある日常。おれの異常、おれの狂気、おれという一つの恐怖さえ平然と咀嚼し、石を投げ入れた沼ほどの動揺もみせない女。もしかしたら、おれはこの女とならいっしょにやっていけるのかもしれない。ごく平凡な夫婦になれるのかもしれない。いや、女というものが、すべてこの日常しか信じず、そこでしか生きないなら……おれは、じつはどんな女とでもやっていけるのかもしれない。

「どうしたのよ、真面目な顔して」と、女は私の肩に頬をくっつけながらいった。「あなたって、なにか考えているとき、まるで子供がメンコでもしてるときみたいな顔になるのね。脣がとがっちゃって……」

「そうかね」

「そうよ。……へんな人ね」

女は笑い、同じように黒っぽい池の面を眺めながら、私も笑いだした。「へんな人さ、おれは。要するにおれはなまけものの、臆病なあまり、どっちにも動きだせないだけの子供らしいんだな」