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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

彼の顔には困惑がうかんでいた。私は彼のとまどいを、彼の悲しみをおもった。私はわざと欠伸をかみころした。私もまた、なにかの過ぎるのを待たねばならないのだ。

「保井」と佐藤はすこし大きな声でいった。「なんとかいえ。心当りがないだけじゃ、すまねえだろ? なにかいってくれよ」

「だって」保井進はわらった。舞台顔の写真をラジオの上にもどした。「困ったやつだな、このさい、ぼくがなにをいえばいいんだ」

「このさい、か」佐藤は呟いた。「ほんとうだな、どうもおれは無作法だな、わるい」佐藤は腰を上げた。「おも屋の方に行こう。ここだと、おれはよけい非常識になってっちまう気がする」

「おなかがへったよ」と私はいった。

母屋は大掃除のときのようにところどころ襖がとりはらわれ、電灯があかるく畳を照らしていた。ほとんどの家の寝しずまったこの時刻に、黒ぐろとひろい庭からの夜風をうけ、人びとと酒を飲み、ものを食っていると、なにか自分たちが家という雰囲気や拘束から解放され、野営をしているのんきな旅人たちのように思えてくる。私たちが、玩具の人形たちのようにバラバラで、のんびりとした根のない存在のようにしか考えられなくなる。