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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいよあい

愛よ、愛

岡本 かの子

Lesen Sie 愛よ、愛 (あいよあい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.138 Zeichen · 99 Bildschirme

Aozora Bunko

もし逢ってもその人達はこの人になつかしく差出す手を用意して居るに相違ない。そういえばわたしとてよくもこの人を庇い通した――おもえば氷を水に溶く幾年月。その年月に涙がこぼれる。

和服を着せれば幾日でもおとなしく和服を着ている。洋服を着せれば黙って洋服を着て居る。この人はまるで阿呆のようだ。そのくせわたしの着物にはいろいろと世話をやく。あらい柄のものをわたしが着さえすれば悦んで居る。ときには少女が着でもするような派手な着物を買ってさえ来る。わたしは訊く「どうしてこんなものを」この人は答える「うちには娘が無いからお前に着せる。でないと、うちのなかに色彩がなくて淋しい」

いくら忠告してもこの人がたった一つよこさないものはフランス製の西洋寝巻だ。洋行からわたし達がかえるとき巴里に置いて来たこどもが訣れしなに父のこの人に買って呉れた寝巻だ。厚いラクダの毛。これをこの人は夏冬なしに寝巻に着る。夏は毒ですよ、といってもききはしない。そして枕につくとき云う「こどもはどうして居るかな」

子を思えばわたしとても寝られぬ夜々が数々ある。わたしという覚束ない母が漸く育てた、ひとりのこども。