Japanische Klassiker mit Furigana
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つきもの
憑きもの
豊島 与志雄
Lesen Sie 憑きもの (つきもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.983 Zeichen · 27 Bildschirme
狐狸妖怪のたぐいはいざ知らず、現に私に憑いてるものがある。私の意識してる限りでは、私の方から進んで憑かれたのではなく、先方から憑いてきたのだ。そして私は心身ともに憔悴してゆくばかりで、何の得るところも無い。
憑きものの正体を見届けるために、私は秋子を浅間山麓の温泉に誘い出した。気晴しに浅間の煙でも眺めたいと、甚だけちな量見もあった。そして来てみれば、相変らずの酒だ、相変らずの彼女の眼眸だ。
環境が変ったせいか、私の地位は頗る微妙なものとなった。
秋子はこまごまと私の面倒をみてくれた。洋服を丁寧にたたんでくれる。私の靴下が少し汚れてるからと、宿の女中に洗濯を頼む。靴下の汚れを気にする私の癖や、はき替えを一つ持って来てることを、知っているのだ。ワイシャツの袖口が汽車の煤煙に黒ずんでるのを見て、拭いてあげるからライターの油を出しなさいと言う。ワイシャツの着替えを持って来なかったことも、ライター・オイルの小瓶を一つ持ってることも、知っているのだ。梨に添えてあるナイフがよく切れないので、私のナイフをかして下さいと言う。私がナイフを持ってることを、知っているのだ。