Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
若い美貌の剣士萩原朔太郎は何時も落し差しで、絹物を着てぞろりとして昼間も一杯飲んで、同行の田舎サムライの私に、金をせがまれて呶鳴った。「毎日二人前ずつ酒代を払わせて置いてまた金かい、水戸の山村との手合せも出来ないくせに」と、萩原も山村の出現には、気色烈しく妬みに思っていた。それは当時一人の詩人の詩をのせた雑誌は、毎月のせるわけにはゆかないから、永いのは半年くらい待たなければ、順番が廻って来なかったのだ。だから、彼は山村を亡き者にしようと言い出したが、やみ打ちは卑怯だから原稿で立ち向うより方法はなかった。それをのせようとしても、何時も山村は先きに雑誌にのし出ていたのである。
町の居酒屋で私は若い剣士に言った。山村暮鳥の詩にはいろいろなものが這入りこんでいるね、高村光太郎もいるし萩原朔太郎もいるし、ボードレエルも居れば未来派の絵かきもいるね、感受性が強くてまねをしたがる、まねがすぐ消化されて山村のものになるが、見ていても危ないと私はいった。詩というものは先ずまねをしなければ伸びない、まねをしていても、まねの屑を棄てなければならない、山村は片ッ端からその屑を取り棄ててはいるが、一体、あの人はどういう詩を最後につかまえるのだと、私は山村に疑義を持ち、赤い鰯身の腰刀を居酒屋の木の床に酔って打っつけた。