Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
秘密
小供は眠る時
裸になつた嬉しさに
籠を飛び出した小鳥か
魔法の箱を飛び出した王子のやうに
家の中を非常な勢ひでかけ廻る。
襖でも壁でも何にでも頭でも手でも尻でもぶつけて
冷たい空気にぢかに触れた嬉しさにかけ廻る
(中略)
母は秘密を見せない様に
小供をつかまへるとすばやく着物で包んでしまふ。
ここまで来ると聖画の一枚が眼にうかぶ。「秘密を見せない様に」の境はこの三篇のうちでも、なかんずく優れ、柔らかいきびしさもある。むだごとも書いているが、それが何かの実感に打つかると、勢いこんだ光線を帯びて来るようである。
一物もなし
夕ぐれ、輪形の星、きらめきいづる時
吾が心は呼べり
吾は人々を拒みたれば、今一物もなし
オヽ 吾が拒みしものよ
吾に来れ
吾が拒みし同胞よ、吾に来れ
オヽ吾、今一物もなし、憐れ一物もなし
吾は無なり、吾は空なり
貧乏
又月末が来た
折角買ひ溜めた本を
又売る時が来た
いつになつても僕は貧乏だ (後略)
千家は父君の仕送りだけで生活していたし、生活の指揮もしない人であったから、いつも、学生のように謙虚に暮らしていた、貧乏というものに食い込まれても大して驚かなかったであろうが、苦しさは人からも私は聞いていて、その貧乏が反対に光線を帯びて来たものに思えた。