Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
莫迦者は自分の莫迦さ加減を匿すことすら、容易なわざではないが、えらい人は冗談を言ってもえらそうな冗談に振り替えようとするものだ。えらい人は女人に惚れてもやはり結局えらさを示さざるをえない、えらくない人間には女の人は一瞥もしてくれないが、えらい人にはえらさが愛情に変る場合だって有り得る。それが当り前なのだ、えらくなった奴は自分自身のためにえらくなっているが、もうちょっと突っこんでいえば、沢山の女の人の前で、莫迦に思われたくないために勉強してえらくなったのである。
えらい奴を鉈で打ち割ると、馳け込みの名誉とか、有名になるための一夜漬の勉強とか、誤訳の翻訳のようなもの、誤字や当て字や、碌に書けない文章をよこたてから装飾して作ったボロ屑が、ばさばさ骨を見せて現われるのである。大臣の頭から土地や株券が飛び出すのがうそなら、作家の胸から婦人侮辱罪の犯跡がざくざくしているのも、うそだと言って嘯けるであろう。だが、わが藤村は紳士作家であり、うそをつかない人であった。うそをつかなかったから姪を愛していても、小説では姪を愛しましたと書きにくいことを、少しもよどみなく書いていた。