Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
昭和三十二年白秋の弟さんの鉄雄が死去され、私はお詣りして菊子夫人にまたおあいした。その折の礼を返しに菊子夫人ははじめて小宅に見えた。そしてこれから白秋令妹の家子さんの家を訪ねるのだといわれ、では私も家子さんには四十年もお目にかからないので、お送りかたがた門口でいいからお顔が見たいといった。山本鼎の未亡人家子さんの住居は大森山王にあったから、すぐ小宅から近いのである。くるまで山本家までゆくと、白秋令妹が出て見え、すでに失いかけていられるだろうと思われた例のユメミルヨウな、夢二式のお顔を見てやはりおもかげはあると、嬉しくさえあった。家の中にはいらずに私は辞去した。
この白秋の伝記をかくための年代をしらべる必要がある、と、そんな考えで再び家子さんに会って動坂時代、聖天横丁の年月をたずねる決心をした。物臭で机のまわりばかりにいる私は、何時か菊子夫人と行ったおぼえがあるはずなのに、くるまはとうに山王街道を過ぎ、慌てて降りてさがして歩いた。文章をかくために人を訪ね、話を聴きにゆくなどの経験のない私ではあったが、万年筆と懐紙を袂にいれて用意していた。
家子さんは六十歳くらいであったが、まだ見ただけでは若かった。