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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme

Aozora Bunko

釈迢空の詩は巧みなことばに溢れていて、古いことばをつかっても、にわかに冴えて生きて来る術を知っていた。危ない古語のつかい方が危なさをうまく融和させ、かえって鮮かさを加えた。文学博士折口信夫の学問にあるあふれるばかりの古語比喩は、二十歳の青年詩人がもつ若い眼で、選ばれうたわれ、臆することのない大胆さで馳駆されていた。学問というものをこんな詩の形のうえに引き出して、特異の世界をつくり上げた人はまれであった。文学博士ともいわれる人物が私の詩の朗読放送を一々電話で出版書店に知らせたことにも、子供らしい清い勇み方があった。それだから、迢空は詩を書くたびに幼ない詩人のあえぎを捉えることが出来たのである。

私は釈迢空に会うと、すぐ額にある黒ずんで紫がかった痣(あざ)を、まず何よりも先に眼にいれた。痣はあざだった。どこまでも痣にかわりがなく、おしゃれの迢空が顔を剃るたびに悲観し、これをいかにして抹殺すべきかに心をつかっていたことだろうと、よそ事ならずに私はそう思った。若い時分の友人らはこの痣をインキと呼んでからかったが、迢空はそのため「靄遠溪」という号をもちいて、他人のからかいを封じているふうもあった。