Japanische Klassiker mit Furigana
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あるわかれ
或る別れ
北尾 亀男
Lesen Sie 或る別れ (あるわかれ) von 北尾 亀男 (きたおかめお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.515 Zeichen · 8 Bildschirme
父 うむ。(立止って)多分もう駄目だろうと思うが。
娘 そんなことあるもんですか。きっと足にまかせて何処か遠くへ逃げて行っているのよ。そのうちにきっと帰って来る!
父 ふん、帰って来るとしたら、何処からか女でも引っぱって来るだろう。
娘 ………。
父 ……やっと娘一人を探しあてたと思えば、人のものになっているし……。そりゃそうとお前、今日私の来たことを云うのかい、ご亭主に。
娘 ………。
父 え、ご亭主さんに、そう云うかい?
娘 云っちゃいけないの?
父 どうともそりゃお前の勝手だが、しかし厄介になるなんて云うことは云わないがいいぜ。まだ俺だって楽に一人でやって行けるんだから。
娘 (悄沈して)ええ。
父 お前達の世話にならなくったって、まだこれでも立派にやって行けるよ。じゃ行こう。大じにしなよ。(下手へ行く)
娘 お父さん、お父さんの処は何処? 番地は?
父 今井町だよ。三井さんの屋敷うちでね。そこのバラック第×号と云うんだ。
娘 じゃそこへ郵便を出せば届くのね。そう、有難う。
父 ………。(行きかける)
娘 お父さん、そこまで送りましょう。
父 なにいいよ。家が不用心だ。
娘 でも……公園の出口まで行きましょう。