Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるよのたけだりんたろう

或る夜の武田麟太郎

豊島 与志雄

Lesen Sie 或る夜の武田麟太郎 (あるよのたけだりんたろう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.499 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

餉台の上には、新らしい莨の一袋があった。それを吸っていると、酒が来た。

「ずいぶん、お酔いんなったわね。余り飲ませるなって、武田さんが、そう言ってたわよ。」

「自分のことを棚にあげてね……。武田君、どうしたんだい。」

「もう、さっき、お帰りんなったわ。あんたに、枕をさせて、宜しく言ってくれって、親切だったわよ。喧嘩でもなすったの。」

「ほほう、喧嘩のあとの親切か……。」

なにか変梃で、私は気持ちがはっきりしてきた。

「武田君が、ほんとにそんなことを言ったのかい。」

「なによ。」

「余り飲ませるな、……そして、宜しくって、そんなことを言ったのかい。」

「ほんとよ。どうして……。」

女中は怪訝そうに私の顔を見た。が私は、じっと武田を見ていた。

武田はたいてい、はたには全く無頓着に、謂わば傍目もふらずに、別れ去るのだった。

大体、酒宴の席から去るのに二つの型がある。主賓席に挨拶して、所謂フランス風に立ち去るのと、殆んど挨拶なしに、所謂イギリス風に消え去るのと、二つの型だ。これが、飲み仲間だけの酔後には、大きな差を作る。相手を物色して、見失わないように連れ立って歩き、腕を組み肩を抱えまでするのが、一つ。