Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしゅき

或る女の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 或る女の手記 (あるおんなのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.447 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「それには僕も困ってしまった、」と兄さんは仰言った。長く泣き伏していた彼は、俄に顔を上げて、「これから外国へ行って学問をして来るから、あと二年間お妹さんを結婚させないで置いて下さい、」と頼んだ。兄さんはその向う見ずな心をさとして、日本でも勉強は出来ると説き聞かせられた。けれども彼はどうしても聞き入れなかった。「来年の暮まで私から便りがなかったら、お妹さんはどなたと結婚されても宜しいが、来年の暮までは是非待って下さい。それまでに私は外国で立派な者になって来ますから、」と彼は涙を流しながら頼んだ。それで兄さんも我を折って、「それほど固い決心なら、何れあなたの寺の住職とも相談の上、私も何かの力になってあげよう、」と云い出された。すると彼はまたわっと声高く泣き出して、如何に引止めようとしても止まらないで、帰って行った。兄さんは門の所までついて行って、「何れ私から和尚さんに万事のことを相談するまで、決して早まった無分別なことをしないように……。」とくれぐれも云われたが、彼はただ黙ってお辞儀をして帰って行ったそうである。

「あれほど一心になれば豪いものだ、僕まで本当に感激してしまった。