Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしゅき

或る女の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 或る女の手記 (あるおんなのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.447 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

から遠のいていった。「今年の暮」という脅威をも忘れがちであった。

十一月になって、私は肺炎に罹った。四十度に近い熱が往来して、三四日は夢現のうちに過した。その夢心地の中で、私は彼の姿をまざまざと見た。いつもの白い着物を着て、ぼんやりつっ立っていた。非常に遠い所のようでもあれば、すぐ眼の前のようでもあった。眼を閉じて、安らかに眠ってるような顔だった。私はそれを幾度も見たように覚えている。けれど或は一度きりだったかも知れない。私は別に驚きもしなかった。前から予期していたことのような気がした。私は、彼が死んだことをはっきり感じたのだ!

死は凡てを浄めてくれる。私は病床に在って、遠い昔の人をでも思い起すような気持ちで、彼のことを考えていた。そして、「今年の暮」という鉄の扉も、私の前から除かれてしまった。私は安らかな気持ちで、自分の過去のこと未来のことを思った。未来は茫として霞んでいた。

私の病気は一ヶ月足らずのうちに快癒した。予後の保養のためにぶらぶらしているうちに、十二月半ばのある天気のいい日に、私はお母さんと二人で、自家の菩提寺へお詣りにゆくことになった。