Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるひ
或る日
宮本 百合子
Lesen Sie 或る日 (あるひ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.119 Zeichen · 21 Bildschirme
千代は、凋れた表情になり、両手を痛々しくひきしぼりながら、
「まあ。――折角お優しいお家に上れたかと思って居りましたのに。――でも……そう云う御都合なら致し方もございませんけれど。私……」
と歎息した。
さほ子は、承知された嬉しさと、二三日でも一緒に暮した者を家から出す苦痛とで、何とも云えない顔をした。
彼女は、あやまるように、ほろりとする千代を励した。そして、最後に今朝買って来た紙包をとり出した彼女は、せかせか言葉を間違えたり、つかえたりしながら云った。
「あのね、これはちっともよくないんだけれど、平常着になるような羽織地だからね。――どこへ行ったって其じゃあ働けないから。……縫って著て。――本当に此那ことになって私気の毒で仕様がないのよ。――それからこっちはね」
彼女は、少しばつの悪い様子をして、たたんである橄欖色の布を出した。
「裏になるだろうからいやでなかったらあげるわ。元カーテンに使ってあったから片側は、はげているところもあるんだけれど」
千代は、同じ愁わしげな眼差しでその青い布を見た。そして丁寧に腰をかがめて礼を云った。
「有難うございます。