Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるそびょう
或る素描
豊島 与志雄
Lesen Sie 或る素描 (あるそびょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.802 Zeichen · 24 Bildschirme
的中するのは十回のうち四五回に過ぎなかった、と云う人さえあった。また、それを本当に信じてるのは長谷部一人で、他の人達はいい加減馬鹿にしてかかってたそうだった。また、長谷部は彼女を相手に、潜在意識がどうだとか、霊の感覚がどうだとか、そんなむつかしいことを説き立てて、黙って微笑んでる彼女を前にして、一人で悦に入ってることもあったそうだった。あの頃から恋し初めたのかも知れない、という者さえ出てきた。
或る時、もう午後遅く、西に面した窓硝子に、赤い夕陽がぎらぎら映ってる時のことだった。彼はふいに立上って、彼女を捉えて、窓硝子の夕陽と睥めっこをしようと云い出した。彼女はすぐに応じた、そして二人並んでつっ立って、眩い夕陽に瞳を定めた。三分……五分……彼女の方が顔を外らした。それからまたやり直した。彼はなお強いた。しまいに彼女は、眼からぼろぼろ涙をこぼしながらも、強いらるるまま夕陽へ立直ったそうだった。
然しこの話は、或は誰かの拵えたものかも知れなかった。ただ、彼がじっと机にもたれて夢想しながら、遅くまで教員室に残ってることがあったのは、確かな事実らしい。然しも一人の女給仕の証言によれば、彼は決して彼女の帰りをつけるようなことはしなかった。